時効援用のよくある質問


Q1 借金の時効期間を教えてください

  • 消費者金融業者やクレジットカード会社への債務は、5年で時効になります。
  • 一方、信用金庫や信用保証協会は、営利目的の団体ではないので、これらの団体への債務は10年で時効になります(ただし、借主が会社の場合は5年)。

Q2 「時効の中断」とはなんですか?

  • 「時効の中断」があると、それまでに進行した時効期間はすべて効力を失い、中断事由が終わった時から新たに時効期間が開始します。
  • 「中断」という言葉からは、時効期間が一時停止するだけのような印象を受けますが、時効期間がリセットされてしまいます。

Q3 時効の中断にはどんなものがありますか?

  • 時効の中断事由としては、以下のものなどがあります。
  • 「裁判上の請求」
  • 「差押え、仮差押え、仮処分」
  • 「債務の承認」

 

Q4 時効の中断事由の「裁判上の請求」とはなんですか?

  • 民事訴訟等が起こされた場合が「裁判上の請求」にあたり、時効が中断します。
  • この場合、裁判が確定した時から新たに時効期間が進行します。

Q5 時効の中断事由の「差押え、仮差押え、仮処分」とはなんですか?

  • 「差押え」は強制執行のことです。「仮差押え、仮処分」は、民事保全処分のことです。
  • この場合も、時効が中断します。

Q6 時効の中断事由の「債務の承認」とはなんですか?

  • 一部でも債務を返済したり、返済を約束するなどの行為があった場合、「債務の承認」にあたり、時効が中断します。

Q7 内容証明郵便とはなんですか?

  • 内容証明郵便とは、郵便の差出方法の1つで、①いつ、②誰が、②誰に対して、③どんな内容の、文書を差し出したかということを、郵便局が証明してくれる制度です。配達証明をプラスすれば、④配達日も証明してくれます。
  • 重要な意思表示を内容とする郵便物や、郵便物の内容を後日証拠として利用したい場合などによく利用されています。
  • 時効援用通知を発送する場合は、内容証明郵便(配達証明付)を利用します。

Q8 内容証明郵便の出し方を教えてください

  • 郵便局の窓口に、①同じ内容の文書3通、②差出人と受取人の住所氏名を記載した封筒、を持参します。
  • 文書の書き方には、字数や行数などの制限があります。
  • また、文書が2枚以上にわたるときには、割印を押します。

Q9 簡易裁判所から支払督促が届きました。どうしたらよいのですか?

  • 簡易裁判所から支払督促が届いた場合には、期限内に、裁判所に対し、督促異議申立書を提出することが必要です。
  • 督促異議申立書を提出せずに放置していると、時効にかかった借金であっても、裁判上、支払義務があることが確定してしまいます。
  • また、業者に対しては、時効援用通知を発送する必要があります。

Q10 消滅時効を援用したのち、業者から「完済証」は届きますか?

 

  • 消滅時効が完成していた場合であっても、ほとんどのケースで、業者から「完済証」のような書類が届くことはありません。
  • まれに、契約書原本を返還してくれることがあります。

Q11 なぜ、消滅時効の制度が認められているのですか?

  • 時効制度の制度趣旨は、は、①過去の事実の立証の困難性を救済すること、②「権利の上に眠る者は保護に値せず」などとと言われています。

Q12 長年放置していた借金の件で、債権回収業者から請求書が届きました。請求書には「早急に電話連絡をください」と書いてあります。

どうしたらよいのでしょうか?

  • このような場合、慌てて業者に電話して、借金の存在を認めるような発言をすると、時効中断事由としての「債務の承認」にあたり、時効を援用できなくなる可能性があります。
  • そのため、業者に電話をせずに、専門家に相談することがベストです。

Q13 公営住宅(市営住宅や県営住宅)の使用料は、時効の援用をすることができますか?

  • はい。時効援用で消滅します。
  • 公営住宅使用料は、5年で消滅時効にかかります(改正民法166条、改正前民法169条)。
  • 市営住宅や県営住宅(公営住宅)の賃貸人(地方自治体)と、入居者との間の法律関係については、原則として民法及び借地借家法の適用があるとされます(最高裁昭和59年12月13日判決)。
  • すなわち、公営住宅使用料は、公債権でなく、私債権と考えられます。
  • よって、公営住宅使用料については、消効期間が過ぎていたとしても、支払義務者が時効援用をしてはじめて消滅することになります。
  • 逆に言うと、自治体としては、支払義務者が消滅時効を援用しない限り、請求し続ける必要があるということになります。